小児がん治療のため定期予防接種を中断⇒接種期間を延長する手続き

小児がん治療のため定期予防接種を中断⇒接種期間を延長する手続き

小児がんは、0歳~15歳未満の子どもに発症するがんです。血液腫瘍(白血病やリンパ腫など)、固形腫瘍(神経芽腫や脳腫瘍など)といった様々な疾患を総称して「小児がん」といいます。

すべての定期予防接種が済んでいない時期に小児がんと診断された場合は、予防接種は中断せざるを得ません。

そんな時に利用できる制度があります。「長期にわたり療養を必要とする疾病にかかった者等の定期接種の機会の確保」です。どのような制度なのか見てみましょう。

目次

長期療養のため定期予防接種を接種対象年齢までに受けることができない場合の手続き

この制度は、平成25年1月30日の予防接種法の改正により施行されました。

長期療養のため定期予防接種を接種対象年齢までに受けることができなかった方が、一定期間内であれば定期予防接種として受けられるようになるという特例措置です。

治療が終わってから接種できるように期間を延長する制度なので、治療によって抗体が減衰した場合の再接種助成制度とは違いますのでご注意ください。

対象者

  • 定期予防接種の対象者であること。
  • 特別の事情があることにより、予防接種を受けることができなかったと認められる者であること。

(1) インフルエンザを除く法の対象疾病(以下「特定疾病」という。)について、それぞれ政令で定める予防接種の対象者であった者(当該特定疾病にかかっている者又はかかったことのある者その他施行規則第2条各号に規定する者を除く。)であって、当該予防接種の対象者であった間に、(2)の特別の事情があることにより予防接種を受けることができなかったと認められる者については、当該特別の事情がなくなった日から起算して2年(高齢者の肺炎球菌感染症に係る定期接種を受けることができなかったと認められるものについては、当該特別の事情がなくなった日から起算して1年)を経過する日までの間((3)に掲げる疾病については、それぞれ、(3)に掲げるまでの間にある場合に限る。)、当該特定疾病の定期接種の対象者とすること。
引用元: 定期接種実施要領 第1 総論「19 長期にわたり療養を必要とする疾病にかかった者等の定期接種の機会の確保」

対象疾病と「特別の事情」とは?

「特別の事情」とは、重篤な疾病や治療を受けるため、やむを得ず定期接種を受けることができなかった場合をさします。

  1. 免疫の機能に支障を生じさせる重篤な疾病にかかった
  2. 免疫の機能を抑制する治療を必要とする重篤な疾病にかかった
  3. 臓器の移植を受けた後、免疫の機能を抑制する治療を受けた
  4. 医学的知見に基づき上記に準ずると認められる場合

上記1.と2.に該当する疾患の一覧表

スマホの場合は、水平スクロールで一覧表をご覧ください。

名称分類
悪性新生物白血病/悪性リンパ腫/ランゲルハンス(細胞)組織球症(Histiocytosis X)/神経芽細胞腫/ウィルムス(Wilms)腫瘍/肝芽腫/網膜芽細胞腫/骨肉腫/橫紋筋肉腫/ユーイング(Ewing)肉腫/末梢性神経外胚葉腫瘍/脳腫瘍
血液・免疫疾患血球貪食リンパ組織球症/慢性活動性EBウイルス感染症/慢性GVHD(Graft Versus Host disease、移植片対宿主病)/骨髄異形成症候群/再生不良性貧血/自己免疫性溶血性貧血/特発性血小板減少性紫斑病/先天性細胞性免疫不全症/無ガンマグロブリン血症/重症複合免疫不全症/バリアブル・イムノデフィシエンシー(variable immunodeficiency)/ディジョージ(DiGeorge)症候群/ウィスコット・アルドリッチ(Wiskott-Aldrich)症候群/後天性免疫不全症候群(AIDS、HIV感染症)/自己炎症性症候群
神経・筋疾患ウェスト(West)症候群(点頭てんかん)/レノックス・ガストウ(Lennox-Gastaut) 症候群/重症乳児ミオクロニーてんかん/コントロール不良な「てんかん」/Werdnig Hoffmann病/先天性ミオパチー/先天性筋ジストロフィー/ミトコンドリア病/ミニコア病/無痛無汗症/リー(Leigh)脳症/レット(Rett)症候群/脊髄小脳変性症/多発性硬化症/重症筋無力症/ギラン・バレー症候群/慢性炎症性脱髄性多発神経炎/ペルオキシソーム病/ライソゾーム病/亜急性硬化性全脳炎(SSPE)/結節性硬化症/神経線維腫症Ⅰ型(レックリングハウゼン病)/神経線維腫症Ⅱ型
慢性消化器疾患肝硬変/肝内胆管異形成症候群/肝内胆管閉鎖症/原発性硬化性胆管炎/先天性肝線維症/先天性胆道拡張症(先天性総胆管拡張症)/胆道閉鎖症(先天性胆道閉鎖症)/門脈圧亢進症/潰瘍性大腸炎/クローン病/自己免疫性肝炎/原発性胆汁性肝硬変/劇症肝炎/膵嚢胞線維症/慢性膵炎
慢性腎疾患ネフローゼ症候群/巣状糸球体硬化症/慢性糸球体腎炎/急速進行性糸球体腎炎/グッドパスチャー(Goodpasture)症候群/バーター(Bartter)症候群
慢性呼吸器疾患気管支喘息/慢性肺疾患/特発性間質性肺炎
慢性心疾患期外収縮/心房又は心室の細動/心房又は心室の粗動/洞不全症候群/ロマノ・ワルド(Romano-Ward)症候群/右室低形成症/心室中隔欠損症/心内膜床欠損症(一次口欠損症、共通房室弁口症)/心房中隔欠損症(二次口欠損症、静脈洞欠損症)/単心室症/単心房症/動脈管開存症/肺静脈還流異常症/完全大血管転位症/三尖弁閉鎖症/大血管転位症/大動脈狭窄症/大動脈縮窄症/肺動脈閉鎖症/両大血管右室起始症/特発性肥大型心筋症/特発性拡張型心筋症/小児原発性肺高血圧症/高安病(大動脈炎症候群)
内分泌疾患異所性副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)症候群/下垂体機能低下症/アジソン(Addison)病/クッシング(Cushing)症候群/女性化副腎腫瘍/先天性副腎皮質過形成/男性化副腎腫瘍/副腎形成不全/副腎腺腫
膠原病シェーグレン(Sjogren)症候群/若年性関節リウマチ/スチル(Still)病/ベーチェット病/全身性エリテマトーデス/多発性筋炎・皮膚筋炎/サルコイドーシス/川崎病
先天性代謝異常先天性代謝異常 高オルニチン血症-高アンモニア血症-ホモシトルリン尿症症候群/先天性高乳酸血症/乳糖吸収不全症/ぶどう糖・ガラクトース吸収不全症/ウイルソン(Wilson)病(セルロプラスミン欠乏症)/メチルマロン酸血症
アレルギー疾患食物アレルギー
先天異常先天奇形症候群/染色体異常

(2) 特別の事情
ア. 次の(ア)から(ウ)までに掲げる疾病にかかったこと(やむを得ず定期接種を受けることができなかった場合に限る。)
(ア) 重症複合免疫不全症、無ガンマグロブリン血症その他免疫の機能に支障を生じさせる重篤な疾病
(イ) 白血病、再生不良性貧血、重症筋無力症、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、ネフローゼ症候群その他免疫の機能を抑制する治療を必要とする重篤な疾病
(ウ) (ア)又は(イ)の疾病に準ずると認められるもの
(注)上記に該当する疾病の例は、別表に掲げるとおりである。ただし、これは、別表に掲げる疾病にかかったことのある者又はかかっている者が一律に予防接種不適当者であるということを意味するものではなく、予防接種実施の可否の判断は、あくまで予診を行う医師の診断の下、行われるべきものである。
イ. 臓器の移植を受けた後、免疫の機能を抑制する治療を受けたこと(やむを得ず定期接種をうけることができなかった場合に限る。)
ウ. 医学的知見に基づきア又はイに準ずると認められるもの
引用元: 定期接種実施要領 第1 総論「19 長期にわたり療養を必要とする疾病にかかった者等の定期接種の機会の確保」

対象期間

定期接種と同じ扱いになる期間は、治療が終わって回復し、主治医の判断で接種可能になった日から2年間です。2年以内であっても上限年齢に達した場合は任意接種となり、接種費用は自己負担になります。

スマホの場合は、水平スクロールで一覧表をご覧ください。

ワクチン名対象期間
(上限年齢)
<参考情報>
定期接種対象年齢
(上限年齢)
BCGワクチン接種可能日から2年間
(上限:4歳未満)
1歳未満
B型肝炎ワクチン接種可能日から2年間1歳未満
水痘ワクチン接種可能日から2年間3歳未満
小児肺炎球菌ワクチン
(PCV13)
接種可能日から2年間
(上限:6歳未満)
5歳未満
ヒブワクチン
(Hib)
接種可能日から2年間
(上限:10歳未満)
5歳未満
麻しん風しん混合ワクチン
(MR)
接種可能日から2年間第1期:2歳未満
第2期:7歳未満
四種混合ワクチン
(DPT-IPV)
接種可能日から2年間
(上限:15歳未満)
7歳6か月未満
日本脳炎ワクチン接種可能日から2年間第1期:7歳6か月未満
第2期:13歳未満
HPVワクチン接種可能日から2年間17歳未満

(3)対象期間の特例
ア. ジフテリア、百日せき、急性灰白髄炎及び破傷風については、15歳(沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチンを使用する場合に限る。)に達するまでの間
イ. 結核については、4歳に達するまでの間
ウ. Hib感染症及び小児の肺炎球菌感染症については、10歳に達するまでの間
エ. 小児の肺炎球菌感染症については、6歳に達するまでの間
引用元: 定期接種実施要領 第1 総論「19 長期にわたり療養を必要とする疾病にかかった者等の定期接種の機会の確保」

手続き方法

接種前に申請し、審査を通過しなければこの制度を利用することができませんので、手順を間違えないようにしてください。

申請書の他に、病院で準備してもらわなければならない書類(診断書や意見書等)や母子手帳が必要になります。

詳しくは、市区町村の役所へお問い合わせください。「長期にわたり療養を必要とする疾病にかかった者等の定期接種の機会の確保の手続きをしたいのですが・・・」と伝えれば、担当者に繋いでいただけると思います。

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